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サステナブルファッションとは?誕生の背景とその取り組み

Tuesday, 21 December 2021

SDGsをきっかけに、よく耳にするようになった「サステナブル」という言葉。日本語に訳すと「持続可能な」という意味ですが、ファッション業界を中心に推進されている「サステナブルファッション」とは一体どんな意味なのでしょうか?

今回はサステナブルファッションが誕生した背景や取り組みについて詳しく解説します!

サステナブルファッションが誕生した背景と環境の現状

「サステナブルファッション」とは、衣服の生産から着用、手放すまでのプロセスにおいて将来にわたって持続可能であることを目指した取り組みです。また、その中には生態系を含む地球環境や関わる人々、社会に配慮することも含まれています。

なぜこのような取り組みが生まれたのでしょう。まずは、サステナブルファッションという考え方が誕生したその背景について見ていきましょう。

<1:衣服の製造から店頭に並ぶまでにかかる環境負荷>

衣服はいろいろな素材から作られています。例えば綿素材のコートやブルゾンでは、生地の表地は綿、裏地はポリエステル、ボタンはプラスチック、ファスナーは金属といった具合です。これらの素材はひとつひとつ資源を利用して作られており、それぞれ環境に負荷を掛けています

綿などの天然繊維には栽培時の水の使用による水資源の問題や、化学肥料による土壌汚染の問題があります。また、ポリエステルを作り出すには、石油資源の使用が必要となり、工場での二酸化炭素(CO2)の排出問題が関係しているのです。

環境省のデータによると、日本国内で販売される衣服に関して、原材料の調達から製造段階までに排出される環境負荷の総量は年間で、CO2の排出量が90,000kt、水の消費量が約83億㎥、端材などの排出量は約45,000tとされています。

私たちが普段着用している衣服一着一着には、それぞれ多くの資源が使われており、環境負荷が発生しているのです。

<2:大量生産・大量消費で衣服のライフサイクルが短期化>

国内における衣服の供給数は増加していますが、衣服の価格は年々安くなっているように感じます。一方でファッション業界の市場規模は縮小しており、大量生産・大量消費の傾向が高まっています。そのため、衣類のライフサイクルの短期化による大量廃棄が問題となっているのです。

環境省が発表している1人あたり(年間)の衣服消費や利用状況を見てみると、『購入枚数約18枚、手放す服約12枚、着用されない服約25枚』となっています。一年間で一度も着用されない服が25着もあるにも関わらず、手放す服よりも購入枚数が上回っています。

低価格化によって衣服のライフサイクルが短期化していることで、多くの服が生み出され、消費されるという悪循環を生んでいるのです。そして、着用されない服の行く末は、ほとんどが処分という選択です。

<3:手放したあとの服は66%がごみに>

服を手放す方法は主に3つあります。『①リサイクルに出す ②資源として回収する ③ごみに出す』です。環境省によると、このうち34%がリサイクルやリユース、あるいは資源として回収されていますが、残りの66%はごみとして廃棄されるとしています。

再利用・再資源化できるにも関わらずごみとして廃棄されてしまう理由には「リサイクルや資源回収には、手間や労力がかかるから」といった声があります。

しかし、ごみとして廃棄された場合、再資源化される割合はたった5%で、ほとんどが焼却や埋め立て処分です。その量は年間で約48万t。1日あたりの量を大型トラックで換算すると、なんと約130台分にもおよびます

毎日大量に廃棄される衣服を処理する過程でも環境負荷が発生していることを、私たちは知っておかねばなりません。

サステナブルファッションの取り組みについて

「サステナブルファッションを実践しよう」と言われても、どんなことに取り組めば良いの
かピンと来ない人も多いのではないでしょうか。サステナブルファッションに確立された定義はありませんが、ここでは企業と消費者でそれぞれ求められている取り組みについてお伝えします。

<1:企業側の取り組み>

・長く着られる服を作る
・リペア事業を拡大して新たな価値を作る
・ファッションレンタルサービスで新たな服と出会える選択肢を拡大する
・リユース市場(着られていない衣服の再流通を促す仕組み)を活性化させる
・セール計画、短サイクル化を見直す
・サステナブルな素材の使用の有無などが消費者にわかるようにする
・店頭回収を実施する

これらは取り組みの一部ですが、すでに実施している企業も多く存在しています。衣服を購入する際にサステナブルな素材を使用しているかなど、環境に関する情報がわかることで、消費者としてもサステナブルなファッションを選択する基準になるでしょう。

また、お店で着古した衣服を回収するボックスを見かけたことがある人もいるかもしれませんね。服の処分に困っていた人でも、店頭回収があることでリサイクルに貢献することができます。このように企業と消費者が一緒になって取り組める対策は多くあるのです。

<2:消費者ができる取り組み>

では、わたしたち消費者ができる取り組みを確認していきましょう。

・一着を大切に長く着る
一着を長く着続けるためには、品質の良い物を選ぶ、洗濯の表示を確認して洗う、古くなってもリペアで再生させるなど、大切に扱うよう心掛けることがポイントです。大切に扱うことで、服に対する愛着も増すことでしょう。

・購入する際に衣服の作られ方に目を向ける
サステナブルファッションは、環境に配慮されて作られているかどうかが重要なポイントです。商品タグや商品情報を確認し、素材や生産ルートなどを知ることが、業界に大きな動きを促すことにもつながります。

『オーガニックテキスタイル世界基準(GOTS)』というラベルが付いた衣服は、原料から製品までのすべての工程が環境負荷の少ないものであることを認証した商品です。環境に配慮された衣服を探す時の手掛かりにすると良いでしょう。

・不要な服はリサイクルへ
着なくなった服はごみとして廃棄するのではなく、できるだけリサイクルへ出しましょう。
店頭回収を行っている店舗へ持って行ったり、自治体の回収サービスを活用したりするのがおすすめです。

現状では処分される服のうち34%しかリサイクルやリユースがされていません。しかし服1着がリサイクルされると、ごみ焼却時に発生する約0.5kgのCO2が削減されるのです。不要な服は積極的にリサイクルに出すようにしましょう。

・服のシェアリングサービスを利用する
服のシェアリングやレンタルサービスには普段は着ないような服が試せるといったメリットがあります。自分に似合う服に出会える幅も広がるでしょう。また、着なくなったら返却すれば良いので、服を捨てることも無くなります。

サステナブルファッションを実践して環境負荷を減らしていこう!

衣服を一着作るにも、さまざまな資源を使い、環境に大きな負荷を掛けていることがわかりました。また、衣服のライフサイクルが短期化していることによって大量廃棄が発生し、環境を汚しています。

SDGsの「目標12:つくる責任 つかう責任」でも大量生産・大量消費の問題が取り上げられています。サステナブルファッションでは企業と消費者がひとつになって取り組むことが重要なポイントです

消費者の立場でできることとしては、服を買う際に「本当に必要かどうか」を考えることも大切です。買ったままクローゼットの中に眠るなんてことがないよう、衝動買いを抑えることもサステナブルな取り組みにつながります。

これから服を選ぶ際には、環境に配慮しているかどうかを意識しながらサステナブルファッションを実践してみてはいかがでしょうか。

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